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子供の矯正 矯正の治療方針

子供の矯正・いつから始める?

2025年2月13日

開始時期は早いほど良いのだろうか?

 上顎前歯が3〜4本永久歯になった頃に不正咬合のチェックを

不正咬合の状況や、歯の生え替わりなどにより異なりますが、一般的には上顎前歯が3〜4本永久歯に生え変わった頃がひとつのチェック時期といえます。年齢的には個人差がありますが小学校2〜3年生ごろのことが多いです。
前歯4本が永久歯に生え変わった概ね2年程度は、乳臼歯(乳歯の奥歯)が比較的安定している時期なので、さまざまな矯正装置を使用しやすい時期でもあります。
一方、下顎骨の成長時期が身長の増大期であるのに対して、上顎骨は10歳ごろで成長終了してしまうことや、また、小学校5〜6年生ごろになると乳歯の奥歯が生え替わりのため抜け始めるのでたとえば歯列の拡大などの処置は行いにくい時期になってしまうことなどから、子供の矯正治療に関しては気になった時に相談するというよりは、上顎前歯が3〜4本永久歯になった頃に一度チェックしてもらうことが理想的です。
できるだけ早期からの治療をお勧めする方針の歯科医院も中にはありますが、実際に本格的に矯正治療の計画を立てたり、矯正装置を製作するには歯型をとって歯列模型を製作する必要があり、3~5歳ごろの小児にとっては歯型を取られたりするのが難しい場合も多々あります。
子供の心理的な成長発育段階と歯の生え具合、矯正装置の作りやすさといったところから、矯正歯科ではあまりに幼少の子供に無理をさせることはせず、小学校2〜3年生ごろ、上顎前歯が3〜4本永久歯に生え変わった頃が矯正治療の開始には適切なことが多いと思われます。

受け口(反対咬合)や切端咬合の場合はもっと早期から

例外的に、反対咬合や切端咬合などの噛み合わせの場合には、もっと早期から矯正装置を使用開始する方が理想的です。
乳歯は概ね3歳ごろには生え揃いますが、この段階では上顎前歯が下顎前歯よりも前方で噛んでいるのが普通なので、この時期にすでに反対咬合や切端咬合になっている場合には、将来的に「下顎前突」の傾向が強まる可能性も高いため、その後の顎顔面の成長発育への影響などを考慮して、早めに正常な前後関係になるように矯正装置を使用開始しておくと良いでしょう。
小児の場合、矯正装置製作のための歯型(印象採得)が難しいことが多いのですが、ムーシールドなどをはじめとする歯型を取る必要のない既製品の矯正装置が利用できますので、4~5歳ごろの乳歯列でも、反対咬合や切端咬合に気がついた場合には矯正歯科に相談されると良いでしょう。

習癖の除去はできるだけ早期から

口元の習癖(癖)は歯並びや噛み合わせに悪影響となります。
たとえば4歳ごろを過ぎても指しゃぶりがなくならない場合や、いつも口を開いていて口呼吸になっていたり、唇を噛む、吸うなどの癖がある場合には、できるだけ早く癖が解消できるように努める必要があります。
中には、鼻が悪いために鼻呼吸がしづらいなど歯科だけでは解決できない要因の場合もありますので、気がついた段階で歯科医院や矯正歯科に相談をして、習癖の除去に努めましょう。

子供の時期の矯正治療の目的は

矯正治療の本来の目的は、「永久歯の歯並びや噛み合わせを整えること」です。
したがって、まだ乳歯が残っていたり、顔面骨格の成長発育を残している小学生時代に矯正治療をしたからといって永久歯が生え揃った後の歯列矯正をしなくて済むわけではありません。
必ずしも抜歯が避けられるようになったり、永久歯列期の歯列矯正が不要になるものではありませんが、成長発育や歯の生え替わりを利用しながら、成長発育段階に合わせて不正咬合の治療を進めていくことで、より矯正治療しやすく安定しやすい歯並びや噛み合わせとなるように、子供時代から積み重ねていくのが子供時代の矯正治療と理解をして頑張ってください。

子供時代の矯正治療で無理をし過ぎないことが大事

先述の通り、矯正治療の目標は「永久歯の歯並びや噛み合わせを整えること」です。
永久歯列の問題は、永久歯列の時期にならなければ解決できない要因も多分に存在するので、子供の時期の矯正治療だけで全てを解決しようとするのは無理があります。なかには将来の抜歯を避けようとするあまり、歯列を過剰に拡大し過ぎて結果的に奥歯が噛めないところまで核だししてしまったようなケースも見かけることがあったりします。
せっかくの子供時代の矯正治療を将来に弊害としてしまわないためにも、子供時代の矯正治療に適切な目標設定で矯正治療を行なって、その上で永久歯列期になったら、最終的な歯列矯正を適切な治療計画で行うことが矯正治療成功のプロセスです。

要約:子供の矯正治療の開始時期と目的

1. 矯正治療の適切な開始時期
  • 上顎前歯が3〜4本永久歯になった頃(小学校2〜3年生頃)が、不正咬合のチェックに適した時期。
  • 乳歯の奥歯が安定しているため、矯正装置を使用しやすい。
  • 早すぎると子供の成長や歯型採取の難しさから、適切な治療計画を立てにくい場合もある。
2. 例外的に早期治療が必要なケース
  • 反対咬合(受け口)や切端咬合は、早期治療が推奨される。
  • 3〜5歳でも使用できる既製品の矯正装置(例: ムーシールド)があり、乳歯列でも治療が可能。
3. 口腔習癖の除去はできるだけ早く
  • 指しゃぶり、口呼吸、唇を噛む癖などは歯並びに悪影響を及ぼすため、早期に対処することが重要。
  • 鼻呼吸が難しい場合は歯科だけでなく耳鼻科の受診も検討。
4. 子供の矯正治療の目的と限界
  • 永久歯の歯並びと噛み合わせを整えることが最終目標
  • 乳歯列期や混合歯列期の矯正治療だけで永久歯の矯正が不要になるとは限らない。
  • 将来の抜歯を避けようと過度な拡大をすると、かえって噛み合わせに悪影響を及ぼすこともある。

結論

子供の矯正治療は、成長発育を考慮しつつ適切な時期に始めることが重要。特に、上顎前歯が3〜4本永久歯に生え変わる頃が良いチェックタイミングとなる。ただし、受け口や口腔習癖は早期対応が必要。無理をしすぎず、永久歯列期の矯正治療と連携した適切な計画を立てることが成功の鍵となる。

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