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矯正治療全般

セカンドオピニオン・その意味とあり方を考える

2019年4月22日

セカンドオピニオンとは、患者さんにとって適切で納得のいく治療法を選択できるように、 治療方法や治療の進行状況など、現在診療を受けている担当医と別の医療機関に客観的な視点での意見を求めることをいいます。
セカンドオピニオンは、治療方法や信頼関係などへの患者さんの不満を裏付けるためのものではなく、最善の治療方針を選択をするための建設的な手段のひとつとして存在します。
歯科医院のホームページなどのあちこちでも「セカンドオピニオン随時受け付けます」という文言がみられる時代になりましたが、セカンドオピニオンという言葉の一般化とともに、本来の意味、目的や手順とは異なって用いられることも増えています。
矯正歯科でも、他院で治療中の患者さんから、心配事や不満の相談の電話をうけるケースがありますが、医療機関として責任をもってお答えするには、セカンドオピニオンの正しい手順でご相談いただくことが必要です。
セカンドオピニオン本来の意味と手順を理解し、患者さんの治療がご自身にとって建設的なものとなるように活用しましょう。

セカンドオピニオンを受ける理由と意味

自分に最適な治療方針を選択するうえで、第三者からの客観的な意見を参考にするために受診するのがセカンドオピニオンです。
診断や治療方針に対して悩んでいる時、治療方法の選択について悩んでいる時、逆に治療方法にほかに選択の余地がないと悩んでいる時などに、第三者である専門家の意見を得ることで、担当医の診断や現在の治療方法の妥当性を確認できたり、また、他の治療方法を得る機会となる可能性があります。

セカンドオピニオンの手順

セカンドオピニオンは、患者さんが納得して治療方針と医療機関を選択するためのものです。
セカンドオピニオン先の医療機関では、あらためて「客観的で公平な判断」が求められることになりますので、患者さんの申し出のみで判断することはせず、担当医が診断に用いた検査結果、担当医の所見・診断など双方から情報を得て判断をします。

  1. 患者さんからセカンドオピニオンを希望する旨、現在の担当医に伝えましょう
  2. 担当医にセカンドオピニオン依頼の紹介状(診療情報提供書)を作成します。検査結果やこれまでの経緯・経過など、診断に必要な情報をセカンドオピニオン先の病院で把握できるように準備してもらいます。
  3. 担当医の用意した診療情報提供書と資料をもってセカンドオピニオン先の病院を受診します。自分の希望や尋ねたいことなどをあらかじめまとめておいて、質問すると良いでしょう。
  4. 必要に応じて、セカンドオピニオン先の病院から担当医に、セカンドオピニオンの内容を伝えてもらいます。
  5. 患者さん自身がセカンドオピニオンを聞いてどう考えたか、必ず担当医に報告して話し合いをしましょう
  6. 最終的にどの医療施設でどのような方針の治療を受けるか、患者さん自身で決定します。

患者さんからの申し出のみでセカンドオピニオン先の医療機関が判断すると、これまでの経緯が正確に把握されておらず誤診の原因となってしまいます。また、不担当医の知らないところでの判断は現状把握が不十分となりやすく、双方誤解を生じやすくなってしまいます。必ず担当医の依頼状を用意してもらってセカンドオピニオン先を受診しましょう

セカンドオピニオンの対象とならないもの

  • 現在の担当医がセカンドオピニオンを了承していない
  • 担当医に対する苦情や不満の相談
  • 係争(裁判)を目的としての治療の正当性や医療過誤などの調査
  • 医療費についての相談
  • 担当医の変更や転医を目的とした相談...など

セカンドオピニオンとは根本的に、患者さんに適した治療方法を検討するためのものですので、それ以外(苦情、転医、係争、医療費に関すること...など)を目的とした相談はセカンドオピニオンの対象ではありません。
セカンドオピニオンをおこなうには、現在の担当医の了承が得られていることが第一条件です。患者さんから正式にセカンドオピニオンの申し出があった場合、現代の医療においてそれを担当医が拒否するということはあり得ませんし、セカンドオピニオンを求めたことで患者さんが不利になることはありません。きちんと申し出た上でセカンドオピニオンの手続きを開始しましょう。

セカンドオピニオンの費用

基本的にセカンドオピニオンは保険診療の適応とならないので自費診療です。
セカンドオピニオン先の医療機関にあらかじめ費用についても尋ねておくとベターです。

ファーストオピニオンを大切にすることがより良い治療の第一歩です

多くの医療機関で複数の医師・歯科医師の意見を聞いた結果、どれを選択したらよいのか混乱してしまっては元も子もありません。そのようなことがないように、最初の担当医(ファーストオピニオン)の意見、その理由となった検査結果や自身の現状などをしっかりと理解しましょう。
ファーストオピオニオンをきちんと理解していないと、セカンドオピニオンを活かすことができませんまた結果的に、単にドクターショッピングに陥ってしまうと患者さん自身の治療が進行しないだけでなく、信頼関係の確立にも弊害となります。最初の担当医の意見を大切にしっかりと理解することがすべての基本です。
セカンドオピニオンは患者さんの治療の今後について、最適な選択を納得して行うためのものです。
担当医の了解を得ず、他の医療機関に相談をしてたとしても、相談をうけた医療機関では責任ある回答ができません。現在受けている治療に対する不安や不満を一方的に相談するだけになってしまっては、本来のセカンドオピニオンの効果を得ることはできません。
セカンドオピニオンを受ける医療機関にとって、最初の担当医からの情報は非常に参考になるものの一つですので、セカンドオピニオンがより建設的なものになるように、正しい手続きでセカンドオピニオンを求めましょう。

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