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矯正の治療方針 矯正治療全般

歯の矯正・歯科矯正治療にはまず「診断」が大切

2019年3月24日

・自分の希望をしっかり矯正医に伝える、プラス矯正医の考えをよく聞く
・気になる点だけを治すというよりは、全体を総合的に考慮した矯正治療のしかたが大事
・セファロ分析など、矯正診断の基本事項を省略しない矯正診断が望ましい

歯の矯正治療が必要な患者さんとは?

歯並びや噛み合わせに問題があることを「不正咬合」といいます。
歯科治療の中でこの「不正咬合」の治療をおこなうのが矯正歯科で、最終的な目標は「それぞれの患者さんの歯並びや噛み合わせを、顔全体ともバランスの良いきれいでよく噛める状態」にすることです。
でこぼこがなければ良いかというとそういう問題ではなく、噛み合わせもよく、顔全体とのバランスも重要です。
患者さんによって不正咬合の状況は異なります。例えばおなじ「デコボコの歯並びの治療」を希望してお見えになった患者さんでも、出っ歯の場合、受け口の場、口元の前方突出が強い場合、逆にボリューム感が足りない場合など様々なので、それぞれの患者さんにあわせて全体が総合的に良くなるように、また、結果的に極端に悪くなってしまうポイントがないように矯正治療を考えなければなりません。
最近の矯正治療は、従来の表側のブラケット装置だけでなく、裏側の矯正やインビザラインなどのアライナー矯正など、矯正治療の選択肢が広がりました。また、歯科矯正用アンカースクリューなどを併用することで、抜歯/非抜歯の基準も従来より変化していたりもします。
しかし根本的に大切なのは「それぞれの患者さんに適切な治療方針で適切な矯正治療をおこなうこと。またそれが可能な適切な矯正装置で矯正治療をおこなうこと」に尽きるでしょう。
矯正治療を始める際には、患者さんの気になる部分を治すだけではなく、全体的な不正咬合の問題をしっかり把握した上で治療方針を考える必要がありますので、矯正医の意見もきちんとお聞きになって矯正治療を開始しましょう。

矯正治療の方針を決めるために必要なこと

矯正治療の方針を決めるには、歯並びのでこぼこや隙間、といったこと以外にもいろいろな事を総合的に予測・検討する必要があります。
・歯の移動限界、現実的にどのくらいまで歯を動かしても大丈夫そうか
・矯正治療後の噛み合わせがどのようになっていると良いか
・顔全体とのバランスはどうか
・治療内容に適した矯正装置の選択
・子供の場合、顎顔面の成長発育や歯の生え変わりと治療のタイミング…など

資格としては歯科医師であればだれでも矯正治療をすることができることになっています。しかし歯科矯正治療は歯科治療の中で特殊な技能を必要とする治療の一つなので矯正治療の専門知識と技術が必要です。
矯正治療をおこなうために必要な技術のひとつが「診断」といって、患者さんの現状にあわせて必要な治療のしかたを決める技術です。二つ目は実際に矯正治療をおこなう技術です。
矯正治療を開始するには、抜歯が必要or不必要、といったことから始まって、どのような矯正装置での治療が適切なのか、といった矯正治療の方針を判断をする必要があり、方針が決まったら、そのとおりにきちんと治療を進行させる技術が必要、ということです。
これら矯正治療の技術は歯科治療の中で若干特殊なため、長期に専門的な研修が必要で、そのため一般的な歯科治療とは別の研修を要するものになっています。そのため多くの「矯正歯科」は矯正専門であり、矯正を専門で行う歯科医師のことを「矯正医」と区別して呼んでいるのです。
患者さんの希望を踏まえた判断、ということがもちろん重要なのですが、患者さんの希望通りにすることだけが、必ずしも矯正治療を成功させるとは限りません。矯正医サイドとしてはまず、患者さんの不正咬合の状況に合わせて適切な治療方針を診断することが重要ですから、抜歯を併用して矯正治療をする技術、アライナーではなくてもブラケットできちんと矯正治療する技術、もしも患者さんが「顎変形症」の状態であれば適切に「外科矯正」の方針を選択して治療ができる技術、ということがあってはじめて「矯正治療の適切なゴール設定」を判断できるものであると思います。

まとめ・矯正歯科checkポイント

  • 矯正の診断には横顔のレントゲン写真(側貌規格レントゲン写真・セファログラムといいます)が必要です。「矯正治療の方針を検討する際に

矯正の診断には、セファログラム(側貌規格レントゲン写真)の撮影と分析が必須です。
矯正治療の方針や計画を検討する際にセファログラムの撮影と分析が行われているか」は、矯正診断の基本的な手順を踏まえているかのひとつの目安にもなります。
矯正治療の専門的な教育研修をうけているかどうかの一つの目安は、必要に応じて抜歯を併用した矯正治療ができること、また顎変形症の患者さんに対して外科矯正の方針の診断治療ができることなどが挙げられます。
アライナー矯正の適応範囲も徐々に拡大してきていますが、それでもまだ従来のワイヤーを使用した矯正治療の代替となる程ではありません。アライナー矯正自体は比較的、矯正専門の治療技術を必要としませんが、矯正治療に対する判断力や、アライナー矯正でも必要に応じてブラケットやワイヤーを用いて補助できる技術が求められますので、矯正治療に対する専門的な理解がやはり大切になります。

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