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矯正の治療方針 矯正治療全般

セラミック矯正とは、矯正治療のことではない

2020年6月15日

ある時期テレビCMでも「セラミック矯正」という言葉が頻繁にきかれました。web検索でもかなりの数の歯科医院で「セラミック矯正」という言葉で広告がされていますが、「セラミック矯正」を「矯正」と表現しても良いものなのでしょうか?

矯正治療とは何か

「矯正治療」というのは歯を動かして歯並びやかみ合わせを整える治療のことです。
自身の歯で歯並びや噛み合わせを改善できることが主な利点の一つです。
しかし矯正治療には年単位の長期間を要し、その期間マルチブラケット装置などの固定式の矯正装置を装着するか、そうでなくてもインビザラインなどのアライナー(着脱式のマススピース)などを使用が必要です。

セラミック矯正とは

セラミック矯正とは、歯を削ってセラミック製のブリッジなどを装着することにより、歯並びや歯の色、歯の形などを改善する治療です。
歯科治療の中では審美的治療の要素が大きい治療で、場合によりそれなりのメリットは見込めます。
しかし、セラミック矯正は歯根の位置に変化がないままいわばずらした被せ物(ブリッジやクラウン)により歯並びの形を整える治療なので、もとの歯並びによっては限界があり、期待するほど綺麗にはならない場合もありえます。歯を削り、セラミック製の被せ物を装着することで見た目を改善しますが、歯の位置自体は変わりません。したがって、根本的な歯並びの改善には限界があります。
事前にしっかりと相談をして、メリットとデメリットを把握した上で治療を選択することが大切です。

セラミック矯正のメリット

・歯の色を改善できる
・歯の形を修正・改善できる
・治療期間が短期間で済む

セラミック矯正のデメリット

・歯を削る必要があること
・歯根の位置は変わらないので、根本的に歯並びや噛み合わせが改善できるわけではないこと
 ※出っ歯や受け口、ガミースマイルなどといった問題はある程度以上改善することはできない
・セラミック矯正をした後に矯正治療をすることとなった場合などには、セラミック矯正の結果元々の歯や歯冠形態、噛み合わせなどの状態がよくわからなくなってしまっているために、矯正治療自体が難しくなってしまう

歯並びの解決には、早めの計画と相談を

現在「セラミック矯正」と表現されているような治療(多少の歯並びの乱れを、歯を削って綺麗な歯並びのセラミックでかぶせる補綴治療)は別段新しいものではなく従来から「審美歯科」などの呼称で行われてきた治療です。
セラミック矯正は矯正治療とは異なるアプローチであり、主に審美的な改善を目的とした治療法です。
歯の形態を整える、歯の形を修正する、色自体を白く整えるなどには補綴治療が必要だし、歯を削ってかぶせる治療自体が悪いことなのではありません。
ただ、大きく歯を削る必要があるだけでなく、将来に歯科治療が必要になった際にその治療条件を難しくしてしまう場合もあり得るため、審美目的でセラミックのブリッジなどを行う際には事前の十分な理解と納得が大切だし、「矯正」という言葉の語感を用いて、補綴治療が歯並びを良くするための矯正治療のような誤認を招く広告の仕方には疑問を感じます。
本来はご自身の歯科的問題に対して最も適切な治療の仕方を選択できると良いのですが、矯正治療などは長い治療期間を要することもあり、患者さんにとってなかなか難しい場合も出てきます。、希望の期日までの日数が差し迫っているためにセラミック矯正しか選択肢がない、というようなことにならないように、本来どのような順序で歯科治療を行うのが最も適切かを理解の上で選択できるように、早めに歯の悩みについて歯科医院に相談しましょう。

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